おもてなしの郷土料理、わんこそば
一口に小分けされたそばを「わんこ(お椀)」に入れ
薬味と一緒に食べる「わんこそば」。
「わんこそば」は、岩手県盛岡市と花巻市を中心とする郷土料理です。
その歴史は400年以上とも言われ、
一説では南部家 第27代利直公が江戸に向かう途中、
立ち寄った花巻で差し出された
椀に盛った名産のそばの風味をたいへん気に入って
何度もおかわりをしたことに由来するとされています。
また別の説では、岩手に昔から伝わる冠婚葬祭などの風習で
宴会の最後の締めに、必ず沢山のそばをふるまってきた
「そば振る舞い」からきているとも言われています。
「わんこそば」は給仕の「ハイ、どっこい。じゃんじゃん」という
威勢の良い掛け声と共に何杯も食べ続ける大食い・早食いといった
誤ったイメージを持っている方も多いかもしれません。
それは、「わんこそば」を名物として広めるため
制限時間内に何杯食べられるかを競う競技会が
開催されてきたことが大きく影響しています。
本来の「わんこそば」はお椀に給仕する一口そばを、
お客様が満腹になりお椀に蓋をするまで
お好みの薬味を加えて召し上がっていただくもの。
お客様のペースに合わせて食べていただく
「おもてなしの郷土料理」です。
お客様のことを想い、沢山食べてもらえるよう、
そばは小分けしやすいよう通常より長く切られ、
喉越しが良くなっています。
また勘違いされているかもしれませんが
「わんこそば」は冷たいおそばではなく
寒い季節に似合う温かいおそばです。
花巻の今年の桜の開花予想は4月下旬頃。
まだまだ寒さが続くここ花巻で「わんこそば」を
味わってみるのもツウな楽しみ方かもしれません。
ちなみに小分けにされたそばは10~15杯で
一般的なそばの1人前程度と言われています。
「わんこそば」を食べられる量の平均は
男性で60~80杯、女性で30~60杯なのだとか。
我こそは!と思う方はぜひ、春まだ浅いこの時季の花巻で
ぜひ、挑戦されてはいかがでしょうか。